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2016年10月30日 (日)

ワヤン・クリ(Wayang Kulit)

旅が大好きです。


もちろん国内旅行も好きですが、やはり心が弾むのは、
文化も習慣も全く異なった、海外の未知の国々へ出かける時。


これまでも、いくつかの国を訪ねましたが、
とても興味があるけれど、まだ訪れたことのない国もたくさんあります。


その一つが、インドネシアです。

特に、ガムラン音楽や舞踊など、バリの伝統的な文化や芸術に
触れることができるという「ウブド」は、ぜひ一度行ってみたいと
長年熱望している憧れの土地です。


このブログを訪問してくださるみなさんの中には旅行好きな方が
多くいらっしゃるので、インドネシアを旅されたことのある方も
きっといらっしゃることでしょう。

私にとっては、まだ訪れたことのない国ですが、
仕事を通じては、インドネシアの方と接する機会が時々あります。


仕事を通じて・・・と言えば、海外の国をビジネス等で訪問する際、
お土産を持参するかどうか、または、どの程度のものを持っていくかは、
私の経験(そう多くはありませんが・・)を振り返ってみると、
国によって結構差があるように感じます。

そんな中で、インドネシアは、かなり、
「お土産文化」の国のような気がしています。



・・・なんだか、前置き的な話がすっかり長くなってしまいましたが、

今日は、しばらく前に来日したインドネシアの方からいただいた
ちょっと変わった「お土産」をご紹介したいと思います。



*・゜゜・*:.。..。.:*・*:゜・*:.。. .。.:*・゜゜・**・゜゜・*:.。..。.:*・*:゜・*:.。



みなさんは「ワヤン・クリ(Wayang Kulit)」をご存知でしょうか?


インドネシアのジャワ島やバリ島で行われる、人形を使った
伝統的な影絵芝居のことで、「ワヤン(Wayang)」は「影」を、
「クリ(Kulit)」は「皮」を意味するそうです。

なぜ「皮」なのかというと、影絵芝居で使われる人形が
牛の皮でできているからだとか。

その演目は、「ラーマーヤナ」や「マハーバーラタ」など、
古代インドの叙事詩をベースにアレンジされたもので、
現地ではガムランの音色とともに、夜を徹して上演されると
聞きました。



この影絵芝居に、私は以前からかなり興味を持っていたのですが、
その人形を、ある時「お土産」としていただきました。




1_3


名前の由来どおり、人形は革製で、
持ち手となる棒の長さを入れると70センチくらいです。

ワヤン・クリにはたくさんの登場人物がいて、さまざまな種類の人形が
あるそうですが、上の写真の人形は、くださった方によると
「warrior(戦士)」だとか。



全体に細かい穴がたくさん開いていて、
これが影絵となった時に、繊細な細工模様のシルエットとして浮かびます。


2_2



ワヤン・クリの上演では、石油ランプの前に白いスクリーンが張られ、
その間で、ダランと呼ばれる人形遣いが、たった一人で
数々の人形を操ります。

ダランは人形だけでなく、語りや効果音も担当し、
その後ろでは、複数の演奏者によるガムランの伴奏が行われます。



人形の中心についている長い棒は、
スクリーンの前にある座に突き刺すためのもの。

こうすると、人形遣いが一人でも、複数の人形を
スクリーンに登場させておくことができます。



こちらの人形は、
たぶん「スマル(Semar)」というキャラクター。


3


ワヤン・クリの主役となる人形は概して細身なものが多いそうですが、
このスマルは、不気味な表情に不格好なスタイルと、
ちょっとグロテスクです。


その異様な姿形に、いただいた時にはちょっと驚きましたが、
スマルは「マハーバーラタ」に登場する勇者アルジュノの従者で
道化師で、守護者でもあるとのこと。


こんな外見ながらも、なかなかの役者らしく、
例えば、夜通し上演されるワヤンで、深夜に観客たちが
眠気を催してきた頃、場面転回でスマルが登場し、
滑稽な問答や痛烈な風刺で観客の眠気をさましたり、
笑わせたりする重要な役割を担っています。


また、スマルは、実は宇宙を支配する最高神ブトロ・グルの兄で、
自身も偉大な力を持つ神であって、人間を守護するために
地上に降りた姿だとも言われているそうです。



そう聞くと、少し違って見えてくる・・・かな?



4_2




ところで、影絵芝居なのに、どうして人形には
鮮やかな彩色がされているのか?
・・・と思った方もいらっしゃるかもしれません。



普通、影絵芝居を見る場合、観客はスクリーンを挟んで、
人形とは反対側から鑑賞することになります。


けれど、ワヤン・クリの場合は、石油ランプの灯りを背景に
人形のシルエットが映るスクリーンの表側と、ダランが
人形を操る裏側の両方から見ることができるのです。


そして、影の映るスクリーンの表側は「現実の世界」や「現世」を、
美しく彩色された人形をダランが操る裏側が「異世界」や「あの世」を
表すと言われています。



影絵の幻想的な様子は、一見「異世界」を思い起こさせますが、
インドネシアの人々の感覚では、「あの世」の方が美しく色鮮やかな
世界で、その影が「現世」なのでしょうか。


表側からか裏側からか、それは観客の好みで自由なようですが、
聞くところによると、インドネシアではダラン側から観るのが
人気だとかいうことで、こちらも興味深いです。




さて、最後に、「結局、実際のワヤン・クリってどんなもの?」
・・・という方のために、YouTubeで見つけた動画をご紹介します。


スクリーンの表と裏側の様子がわかって、実際のワヤン・クリを
見たことがない私も、雰囲気が想像できました。



そして、もう一つ。

こちらはジャカルタのMuseum Wayang(ワヤン博物館)がアップしている動画です。



2時間以上あるので、絶対最後まで見られない気がしますが
(もちろん、私も見てません^^; )、夜通し行われるワヤンの演目は、
あらすじがあるだけで、物語もゆったりしているため、
途中で1時間くらい眠ってしまっても大丈夫なんだとか?


ガムランの音色の中で、うつらうつらと居眠りしながら、
ふと眼を覚ましては、また影絵の世界へ入っていく・・・

そんなゆったりした幻想的な時間が流れる夜には憧れますね。



なので、動画を見ている途中に眠り込んでしまっても、
きっと大丈夫ですよ(笑)

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コメント

hananoさん、こんばんは。

ワヤン・クリについてはテレビなどの旅番組で見たことはあったのですが、表と裏側で違う見方があったのですね。

影の部分が現世で、実際に色彩をともなった裏側の部分が来世というのも宗教観が出ていて面白いですね。私達は仮の世界で生きているのでしょうか?

旅はいいものですね。ただ私は国外でも近隣諸国を伺ったことがないのです。 昔、若かりし頃に近隣のアジア諸国を男1人で旅すると、いかがわしい(笑)所へ案内されて、ゆっくりと街を散策出来ないと言われて辞めてしまいました。

もうしばらくはヨーロッパを中心に、身体が長距離の移動に耐えられなくなったらゆっくりとアジア諸国を回ってみたいのですが・・・そう上手く人生が運んでくれたらいいのですがねcoldsweats01

それにしてもスマル(Semar)というキャラクターは強烈ですね。いくら守護神でも悪夢に出てきそうですhappy01

投稿: omoromachi | 2016年10月30日 (日) 22時28分

omoromachiさん、こんばんはnote

ワヤン・クリをテレビでご覧になったことがあったのですね。
私も、昔何かの番組で見たり、どこかで短い映像を見た記憶はあったのですが、
てっきり影絵の側からのみ見るものだと思っていました。
表と裏では違う世界を表していることを知って、
その世界観や精神性にいっそう興味を感じるようになりました。

自由気ままな一人旅は魅力的な反面、女性一人の場合はいろいろな危険や
不安もありますが、男性の一人旅にもそんな困った面があったのですねbearing
旅は、どこを訪れても新たな出会いや新鮮な驚きがあるものでしょうし、
omoromachiさんも、どうぞ末永く、さまざまな場所との出会いを楽しんでくださいねshine

それにしても、スマルの姿は強烈でしょう~
私も、せっかくお土産でいただいたにもかかわらず、袋から取り出して
初めて目にした時には、その方の目の前でちょっと固まってしまいましたcoldsweats01
それでも、しばらく見ていると、なんとなく愛嬌が感じられるような、
感じられないような・・・(笑)

投稿: hanano | 2016年10月31日 (月) 00時26分

こんにちわ^^
革でできていて、こんなに綺麗な色と模様が施されていたんですね、初めて見ました。
昔、みんなのうたで、ラジャラジャマハラジャ〜♪というフレーズが入った歌があって、その背景の切り絵を思い出しました。全然世界が違うと思うのですが(笑)

スマルってお兄さんかぁ、ぱっと見女性ぽいのですね(オバタリアンというか、死語??coldsweats01sweat01

お土産文化、お国柄ってあるのですね。そこも興味深かったです。
風邪大丈夫ですか?お仕事お疲れ様でした♪

投稿: ここは | 2016年11月 1日 (火) 12時00分

ここはさん、こんばんはnote
ワヤン・クリは、昔何かの番組かで短い映像を見たことが
あったのですが、私も、人形が革製とは知りませんでした。
穴を開けたりの細工をしても、紙より丈夫だからなのかな・・・?
切り絵が印象的だったという「ラジャラジャマハラジャ〜♪」って
何の曲でしょう? 聴いてみたいですheart04
スマルって、確かにちょっと不気味なオバサンっぽくも見えますね!(笑)
世界中には想像できないくらいたくさんの文化や習慣があるんでしょうね~
例えば、日本人が手土産やプレゼントを渡す時、「つまらないものですが・・」とか
言うのが理解できない・・・と欧米の多くの人が感じる、とかはよく聞きますよね。
ところで、風邪はもうすっかり大丈夫です。
優しいお気遣いありがとうございますhappy01

投稿: hanano | 2016年11月 1日 (火) 19時32分

この人形は大変魅力的ですね。
そしてもう一つこのエキゾチックな人形に私が魅かれることがあります。
私が20代の頃、お気に入りだった青いワンピースの柄がこの人形とよく似ているのです。ワンピースの人形は10センチ位の大きさで画像のような形でした。
動画の音楽はどことなく日本の人形浄瑠璃と似たところがありますね。
国は違ってもどちらも古くからの人形芝居、共通したものがあるのでしょうか?
昨日、コメントを差し上げたのですが、どうやら失敗だったようですね。この頃PCがいうことを聞きませんbearing

投稿: おキヨ | 2016年11月 1日 (火) 22時23分

おキヨさん、こんばんはnote
せっかく昨日コメントをいただいていたのに、
どうもうまく反映されていなかったみたいです。
でも、今回はバッチリ届きましたよ。ありがとうございますheart04
エキゾチックな人形の柄の青いワンピースを着た20代のおキヨさん、
きっと、とてもおしゃれで素敵だったことでしょうね!shine
確かに、この動画のガムランの音色やダランの語り声は
日本の人形浄瑠璃(実際に見たことはありませんが・・・)を
思わせるような雰囲気ですね。
世界の遠く離れた国や地域同士が、思わぬ共通点を持っていたりして、
人間の文化というものは、興味深くておもしろいものだなぁ・・と感じますhappy01

投稿: hanano | 2016年11月 2日 (水) 00時19分

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