2017年8月20日 (日)

図書館という小宇宙

お盆も過ぎて、昼間の蝉の鳴き声はあいかわらず賑やかですが、
夜になると虫の声が聞こえてくるようになりました。


みなさま、夏のお休みはどのように過ごされましたか。


私は温泉に入ったり、のんびりと本を読んだり・・・

ゆったりとした時間を過ごしました。


ここ数年、心が波立つようなこともありましたが、
今年の夏は、仕事は多忙なものの、精神的には穏やかに
時間が流れているように感じられ、幸せです。



そんな休みの期間中、久しぶりに図書館を訪れました。



この20年足らずで、自宅に居ながら、ネットを通して
早く簡単に希望の本を手に入れられるようになったけれど、

図書館には、それとはまったく異なった本との出会いや
空間の雰囲気というものがあって、私は好きです。


特に、人類の資産ともいえる叡智や記録が詰め込まれた無数の本が、
歴史のある図書館の天井近くまでの壁を埋め尽くす様子は、
あたかも先人達が作り上げた「知の小宇宙」といった感じで、
その独特の美しさに圧倒されます。


実際、ボルヘスの『バベルの図書館』の主人公はそこを「宇宙」と呼んでいたし、
その物語からイメージしたというウンベルト・エーコの『薔薇の名前』に
登場する図書館は、まさに迷宮のような幻想的な空間でした。



そんな図書館に、私はとても魅力を感じるのですが、
数年前に訪れたスウェーデンのストックホルム市立図書館も
美しい図書館のひとつでした。


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北欧近代建築の巨匠、 エーリック・グンナール・アスプルンドが
1920年代に設計した、オレンジ色の円形ホールが特徴の建物です。


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入り口の回転ドアを入って、正面にある階段を上っていくと・・・


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高い吹き抜けの天井から大きな照明が吊るされた空間は、
まわり360度がすべて本棚。

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3階までの書架は、見渡す限りの本で埋め尽くされています。


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初めてこの空間に足を踏み入れた時、
私が思い描いていた図書館という場所の魅力が、目の前に
ひとつの確かな形態となって表現されているように感じて、
思わず息をのんだことを覚えています。


広がる宇宙の真ん中に、ポツンと立っているような。


その感覚をここで伝えることができないのがとても残念ですが、
パノラマで見るとこんな感じ。 (クリックすると拡大します)

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膨大な本に囲まれた空間の雰囲気が、少しは伝わるでしょうか・・・




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吹き抜けのフロアは明るくて、北欧の夏の眩しい光が差し込む中、
この空間で、何時間でも、広大な書物の海の中を漂っていたいような、
そんな気分になりました。


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この図書館以外にも、アイルランドのトリニティ・カレッジ図書館や
メキシコ・シティのホセ・ヴァスコンセロス図書館、プラハ国立図書館など
訪れてみたい図書館は世界中にたくさんあります。



ポルトガル語の古書約5万冊が収蔵されてるというリオ・デ・ジャネイロの
王立ポルトガル図書館(Real Gabinete Portugues de Leitura /通称「幻想図書館」)
などは、一般の入館者はその蔵書に触れることが禁止されていて、
その空間の雰囲気を感じ、楽しむ場所だというからちょっと驚きですが、
機会があれば、こちらもぜひいつか足を運んでみたいものです。


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(上写真: 図書館のウェブサイトから。確かに、「幻想的」な雰囲気ですね)

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2017年7月23日 (日)

Summer of Love

梅雨が明けて、いよいよ本格的な夏。


前回ここに来て書いた記事が「桜」の話で、
季節の移り変わりは本当に早くて、
こんな調子だと、あっという間に人生の時間が
過ぎて行ってしまいそうに思えたりします。



しばらくご無沙汰しておりましたが、
みなさま、お元気でお過ごしでしょうか。


おかげさまで私は元気です。

夏が来る前、少しの間、サンフランシスコに滞在していました。



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日日、あれこれとさまざまな用事をこなしたりしていたのですが、
ある日の午後、ふいにできた時間に、アメリカ人の友人とともに
ヘイト・アシュベリー(Haight-Ashbury)を訪れました。



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サンフランシスコ市内の真ん中あたりに位置するヘイト・アシュベリー地区は
「ヒッピー発祥の地」

ヒッピー文化の聖地といわれる場所です。


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今からちょうど50年前の1967年の夏、
この地に10万人の若者たちが集まり、共同生活を始めました。


愛と平和と自由を掲げて、文化や政治的な意思表示と主張をし、
ドラッグやフリーセックスも含めながら、既成の価値観や
生活様式に縛られた精神を解放しようとした彼ら。

その熱気は、このヘイト・アシュベリーから、
サンフランシスコを中心としたアメリカ全土へ、
そして、世界各地へと広がり、その社会現象は
「サマー・オブ・ラブ(Summer of Love)」と呼ばれました。



カラフルなサイケデリックカラーと音楽に彩られて
時代のカウンター・カルチャーとなったこのムーブメントは
20世紀のひとつのエポックメイキングであって、
きっと、若者文化の革命だったのでしょう。


とはいえ、"Love & Peace"という言葉は知っていても、
自分の知らない時代の、体感としてイメージできない空気は
私には、遠くに感じられるものでした。


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けれど、カリフォルニアの青空の下、このヘイト・アシュベリーで、
街角に座ってお香を焚く若者や、サイケデリックカラーとピースマークが
溢れる店内で明るくおしゃべりしながら洋服を並べる若い女性の店員たちの
姿を眺めつつ、自由な雰囲気が漂う街をぶらぶらと歩いていると、
そんな時代の空気が、今も生き生きと感じられるような気がしました。



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「Summer of Love」から50年後、

2017年のサンフランシスコの街では、
50周年を記念するさまざまなイベントが行われていました。



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〇50周年記念の特設サイト「Summer of Love 50th Anniversary」



オーガニック・スーパーマーケット
「TRADER JOE'S(トレーダー・ジョーズ)」の
ショッピングバッグまで "Summer of Love"!

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ゴールデン・ゲート・パークの中にあるデ・ヤング美術館では
大規模な展覧会 「The Summer of Love Experience: Art, Fashion,
and Rock & Roll」 が開催されていて、とても興味があったのですが、
滞在中に上手く時間がとれず、残念ながら訪れることができませんでした。

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同エキシビションのトレイラー





サンフランシスコ、1967年・・・といえば、
スコット・マッケンジーの「花のサンフランシスコ(原題:San Francisco)」は、
この年の曲なのですね。


この曲は私も含め、耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。





「Summer of Love」から50年。

みなさま、どうぞよい2017年の夏を。

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